今年の元旦、私は家族と一緒に福州にあるユニクロ爱琴海店を訪れた。
年越しキャンペーンで「1000元以上の購入で150元引き」というセールが行われており、結果として9着ほどまとめ買いをすることになった。
ところが帰宅後、購入したはずの服が1着見つからない。
車の中も確認したがない。
となると、可能性はひとつ——会計後のサッカー台に置き忘れたのではないか。
「とりあえず電話してみるか」の軽い気持ち
レシートに記載されていた店舗の電話番号に連絡した。
若い声をしている男性スタッフだった。
そして対応したスタッフはすぐにこう言った。
「監視カメラを確認します。結果はWeChatで連絡します」
日本でいうLINEのようなアプリだ。
自分の携帯番号を伝えたらすぐ店舗公式アカウントから友達追加の要請が届いた。
正直、この時点ではこう思っていた。
「まあ、“見つかりませんでした”で終わるだろうな」
数分後に届いた“想定外の対応”
しかし、数分後に届いたのは単なる結果報告ではなかった。
「確認しましたが見当たりません」
ここまでは予想通り。
ただ、その後に送られてきたものに驚いた。
会計時の監視カメラ映像だった。
さらに、こちらから「サッカー台の様子も見たい」と伝えると、
また数分後には、より長い時間の切り抜き動画が送られてきた。
結末はシンプルだった
映像を確認した結果、原因は明確だった。
無人レジでの会計漏れ。つまり、買っていなかった。
拍子抜けするほど単純なオチだが、問題はそこではない。
本当に驚いたのは「対応の速さと仕組み」
今回の体験で感じたのは、「親切だった」という話ではない。
むしろ印象に残ったのはこれだ。
- 電話から数分で監視カメラを確認
- その場で必要なシーンを切り抜き
- WeChat経由で顧客に共有
この一連の流れが、特別な対応ではなく“普通に行われている”ことだった。
サービスの本質は「人」ではなく「構造」にある
日本のサービスは「丁寧さ」や「人の対応力」で評価されることが多い。
一方で今回感じた中国のサービスは、少し違う。
- 人が頑張るのではなく、システムが解決する
- 「確認します」ではなく、証拠をそのまま渡す
- 説明ではなく、可視化で納得させる
つまり、サービスの質を支えているのは
「接客力」ではなく「仕組み」だ。
日本企業 × 中国のデジタル基盤
今回のユニクロは日本企業だが、この体験は日本国内ではなかなか起きない。
おそらく理由はシンプルで、
- 中国はWeChatを中心とした顧客接点がデジタル化されている
- 店舗側もそれを前提にした運用設計がされている
この2つが揃っているからだ。
言い換えると、
日本のサービス精神 × 中国のテクノロジー基盤
この組み合わせによって、今回のような体験が成立している。
日本は遅れているのか?
ここで単純に「日本は遅れている」と結論づけるのは浅い。
日本のサービスは依然として世界トップクラスだ。
ただし方向性が違う。
- 日本:例外対応まで人がカバーする
- 中国:標準化とデータで処理する
どちらが優れているかではなく、最適解が違うだけだ。
まとめ
今回の一件で強く感じたのは、
中国のサービス業は“進化した”のではなく、“別の形に進化している”
ということだった。
そしてその変化は、想像以上に日常の中に入り込んでいる。
次に中国に行くときは、
ただ便利さを感じるだけでなく、
「なぜこのサービスが成立しているのか」
そこまで観察してみると、もっと面白くなると思う。

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